その② その日から…
弱々しく感じられる妻…
妻自身も自分の変化を感じていた。
症状のせいか、薬のせいか、恐らく両方だと思うが、それからの妻の一日はほとんど寝て過ごす日々であった。
当時、高校2年の息子は野球部で早朝から遅くまで練習や試合に励んでいた。私は毎日息子の朝ごはんやお弁当、そして買い物、家族の夕飯の支度、洗濯…と仕事後もフル回転だった。
妻がお風呂に入る時は毎日家族が交代して見守り、声をかけた。私や家族の思いとは裏腹に、家で起きて過ごす妻はほとんど周囲を気にせず、自分が心配されていることすら感じていない様子もあった。
食事はほとんど取らず、タバコだけは吸い、コーヒーを飲んで寝るだけ…。聞けば、日中もコンビニは行っていたと言う…
そしてAmazonで不用なものを買ったり、何かに凝って買い占めたり…、以前とは明らかに違う妻になっていった。
準備して声をかけてやっと食べる食事、当時彼女が唯一食べたのはサンドイッチ…。私は自動のパン焼き器で、毎日食パンを作り、卵とチーズを挟んだ妻のお気に入りの食事を作って出勤した。
タバコは吸わないとストレスが溜まってしまうと言って、頑なに辞めない…それでいて
薬だけはしっかり飲んだ。
何かを強く言えない私…。
私の言い方、伝え方で彼女の気持ちや気分が変わってしまうのが嫌で、だんだんと私は物言わぬ自分へと変わっていった…
妻の様子や顔色を伺っていた私であったが、また妻も私の顔色を伺っていたようだ。
コミュニケーションが上手く取れなくなっているのを感じた…。それは自分の脆さを感じ、ちょっとした事で壊れてしまいそうな自分が居たから…。常にぎりぎりな自分を感じていたから…。
自分が壊れてたらこの家が壊れる…
恐らくその時はそうであっただろう。
そのどちらも壊れるのを嫌い自分を押し殺していた…妻が気分良く過ごせるように…
妻が笑って楽しそうにしていたら自分も穏やかで居られる…から。
そんな夫婦になっていた…
そんな自分になっていた…
ちょっとした事があると私は気持ちに折り合いがつけられず、こんなに頑張っているのに…、と言う思いを持つようになっていた…
それでもお風呂場でのあの豹変から半年が過ぎた頃には妻の発作も減り、一人で買い物や散歩に行けるようになっていた。回復の兆しを見せる中、私ら愛情とはまた少し違う感情を持つようになっていった。
今回も聞いて頂きありがとうございます。
次回は、妻との時間を取り戻そうと、もがき、焦っていた自分の気持ちを書けたらと思います。